Rufus Taylor Records
  

Rufus Taylor Records

ここにはルーファスが書いたとされる手記の内容が記録されています。  

恩人との出会いについての記録

あの頃の俺には、希望なんてものはほとんどなかった。
貧しい家庭に生まれて、新聞配達やアルバイトをしながら学費を稼ぐ日々。
それでも、学びたい気持ちだけは諦められなかった。
そんな俺を救ってくれたのが、カイルの伯父であり、この国の大統領でもあるアルバートだった。
彼は俺の才能を見抜き、「君なら国を変えられる」と言って奨学金と研究の場を提供してくれた。
俺は、彼の言葉を信じた。

研究についての記録

特別研究員として研究所に入った日から、俺の人生は刺激に満ちていた。
未知の世界を切り開く科学の力に夢中になり、日々の仕事に没頭していた。
だが、どこか心の片隅に違和感があった。
俺の研究が兵器へと転じる可能性――それを意識しながらも、俺は目を背けていた。
成果を出すことが俺に求められていた責任だから。
俺はその責任に押しつぶされそうだった。

カイルとのすれ違いについての記録

ある日、カイルにこう言われた。
「ルーファス、お願いだからやめてよ。お前には人を傷つけるようなことをしてほしくないんだ。」
俺はその言葉に、理性を吹き飛ばされた。
怒りで頭が真っ白になり、彼を怒鳴りつけてしまった。
気が付いた時には俺はあいつの胸ぐらを掴み、上にまたがっていた。
あいつは肩、そして唇を震わせながら”もう勘弁してくれ”とでも言うように泣いていた。
俺はその光景を見て、胸が締め付けられるような痛みを覚えた。
なんで、俺はこんなことを言ってしまったんだ?
カイルを傷つけるなんて、絶対にそんなことはしないと決めていたのに。
その夜、俺は自分の言葉が頭の中で何度も響き渡って、何も手につかなかった。
ただ、自分を八つ裂きにしたいほどの後悔だけが俺の中に気持ち悪いほど残っていた。

アルバートの失踪についての記録

戦争が終わりに近づいた頃、アルバートは俺に鍵を渡してこう言った。
「ルーファス、君の協力には感謝しているよ。地下金庫に君の報酬分が入っている。受け取るといい。」
それだけ言って、彼は姿を消した。
恩人であり、この国を動かしてきた人物が突然消えるなんて信じられなかった。
鍵の重みが俺の心をさらに押しつぶした。
アルバートは一体何を考えていたのだろう?

母国の荒廃についての記録

核兵器が使用されたその後、俺は荒廃した母国の姿を目の当たりにした。
瓦礫の山、焼けた街、泣き崩れる人々――それは俺が生きてきた故郷ではなかった。
正直に言ってクソ死にたかった。全部なかったことにしたかった。
過去の選択が何を生んだのかを痛感した。
俺がみんなと同じ人であることに信じられなかった。
俺は自分を責めるしかなかった。何度も、何度も、何度も。

カイルについて記録

カイルが死んだことが確定してしまった。
あれが最期の会話だなんて、信じたくない。
吐き気がする。もう何もしたくない。

孤児院についての記録

俺は科学者であることをやめた。
戦争で両親を失った子どもたちの世話をするため、孤児院の医者として働き始めた。
俺が奪った未来を少しでも修復するための償いだった。
そこで出会った少年アレンは、俺にとってかけがえのない存在になった。
彼と過ごす日々は、短いながらも俺の心を救ってくれる時間だった。
俺は何があっても彼を守りたい、そう思った。